
遺言書を作成する際にお客様とお話しをしていてよく耳にする言葉の一つに『相続放棄の書類を書いてもらうから大丈夫』という言葉があります。
例えば、奥様とお子様二人の計三人の相続人がいる場合で主な相続財産が土地・建物だった場合等に、
『主な財産は現在夫婦二人で住んでるこの家だから妻の今後を考えて土地と建物、貯金は妻に相続させる』
といった内容の遺言書を作成したとします。
勿論この内容で遺言書を作成することはできますが、この場合にお子様二人には遺留分を請求をすることができる権利があります。
権利があるというだけで必ずしもお子様が遺留分を請求するとは限りませんが、お客様にはお子様には遺留分を請求する権利がある事をお伝えします。
お子様には遺留分を請求する権利があるとお伝えすると
『子供達には相続放棄の書類を書いてもらうから大丈夫だよ』と言われる方が結構いらっしゃいます。
しかし相続の開始前に事前に相続権を放棄をする事は可能なのでしょうか?
結論から言いますと、事前に相続権を放棄をすることは出来ません。
相続が開始していない状態ですので、相続権事態が発生していない事になります。発生していない権利を放棄する事は出来ないという事なんですね。
では事前に相続権を放棄する事が出来ないならどうすればいいのか?
遺留分に配慮した遺言書を作成する事を検討していただく事が紛争を避ける為にはよいと思います。
ですが、それぞれのご事情によって変わってくる部分もあると思いますのでそのような時にはご相談下さい。
※遺留分については事前に放棄する事が可能ですが、家庭裁判所で認められた場合に限りますので必ずしも遺留分を事前に放棄出来るとは限りません。詳しくは弁護士・司法書士へご相談下さい。
行政書士 西澤典子