前回、自筆証書遺言書が複数見つかった時にはどの遺言書が有効になるのかをお話ししましたが、今回は公正証書遺言書と自筆証書遺言書の両方が見つかった場合にどの遺言書が有効になるのかをお話ししようと思います。
公正証書遺言書と自筆証書遺言書の両方が見つかった場合
『公正証書遺言書は公証役場で作成し原本も公証役場へ保管されているから日付に関係なく公正証書遺言書の方が有効』
と思いがちですが、公正証書遺言書の方が有効という決まりはありません。
この場合も自筆証書遺言書が複数見つかった場合と同じように遺言書がいつ書かれたのかが重要になってきます。
公正証書遺言書よりも自筆証書遺言書の方が日付が新しければ自筆証書遺言書の内容に従うことになります。
ただし、前回もお話しした通り一定の要件を満たしてして自筆証書遺言書が正しく書かれて法的に有効と見なされることが前提となります。
公正証書遺言書を作成後、遺言内容を変更したいと思い公正証書遺言書で内容の変更をする場合にはその旨が新しい公正証書遺言書に記載されますが、公正証書遺言書を作成後に遺言内容の追加や変更を自筆証書遺言書にて行う方もいらっしゃいます。
種類の違う遺言書が複数見つかっても法的に有効な遺言書であれば種類に関係なく日付の新しい遺言書の内容に従う事になりますのでまずは
①法的に有効な遺言書であるか(家庭裁判所で検認の手続きが必要、絶対に勝手に開封してはいけません)
その後
②日付はいつか
を確認してみて下さい。
封のされている自筆証書遺言書を勝手に開封して内容を確認する事は出来ませんので、自筆証書遺言書が見つかった場合には家庭裁判所で検認という手続きを行ってください。
日付の新しい遺言書に従う事になりますが、複数の遺言書の内容が抵触しているかしていないかによっても変わってきますので、分かりにくい場合等は自己判断せずに専門家に相談してみる事をおすすめします。
行政書士 西澤典子