先日、遺言書が複数出てきたらどの遺言書が有効ですか?というご質問を受けました。
遺言書は何度でも書きなおす事が出来ますし、遺言書を書いたからといって直ぐにお亡くなりになられる訳ではありませんので複数の遺言書が出てきても不思議ではありません。
では、複数の遺言書が出てきた場合、一体どの遺言書が有効になるのでしょう?
自筆証書遺言書の場合には、法律で決められている要件を満たした書き方で書かれている事が必要になります。
要件を満たしていない遺言書は無効となりますので、まずはきちんと要件が満たされているかの確認が必要です。
そして、要件の満たしてある遺言書が複数ある場合には日付の新しいものが有効となります。
ただし、複数の遺言書の内容がそれぞれ抵触する部分が無い場合には複数の遺言書はそれぞれが有効となります。
例えば、2通の遺言書が見つかった場合で1通目にはA銀行の預金は妻へ相続させるという内容の遺言書で、2通目の遺言書にはBの土地は長女へ相続させるという内容の遺言書であれば、2通の遺言書の内容が抵触していないので日付の前後に関係なくそれぞれの遺言書が有効になるということです。内容が抵触している部分に関しては、日付の新しいものが有効となります。
また、日付は書いてあっても書き方が「〇年〇月吉日」というような日付を特定する事が出来ない書き方の場合にも無効となってしまいますので注意が必要ですね。
自筆証書遺言書が複数出てきた場合には
①有効な遺言書であるか
(※封のされている遺言書を勝手に開封し内容を確認する事は出来ませんので必ず家庭裁判所の検認の手続を行って下さい。)
②日付の新しいものはどれか
③遺言内容に抵触している部分はあるのか
をまずはチェックしてみて下さい。
行政書士 西澤典子